野球のまとめサイトを見ていて、「アダム・ダン率」という言葉を目にしたことはありますか?
いっけん不調そうな選手に見えても、アダム・ダン率を算出すると意外に高かったり。
野球にもいろいろな指標がありますが、このアダムダン率はいったいどんな指標なのでしょうか。
アダム・ダン率とは?
アダム・ダン率というのは
(本塁打数+四球数+三振数)/打席数
という式で算出されます。
つまりホームランが多く、フォアボールも多く選び、なおかつ三振が多い選手が、アダム・ダン率の高い選手ということです。
ん?三振数?ホームラン、四球はともかく、三振数を含める指標って何なのでしょう?
もうお分かりの方も多いかと思いますが、この指標はネタ指標になります。
OPSやWARのようにちゃんとした指標ではありません。
かつてMLBで活躍したアダム・ダンという選手がいました。
通算1641安打ながら、通算462本塁打を記録した大打者。
なんと安打の1/4以上がホームランなんですね。
2004年~2008年までは5年連続40本塁打以上を記録しました。
その一方で三振数は2379!この数字はMLBでも歴代3位となります。
しかも1位のレジー・ジャクソンが21年のキャリアで2820試合・2597三振
2位のジム・トーミも22年のキャリアで2543試合・2548三振なのに対して、
アダム・ダンは14年のキャリアで2001試合・2379三振!
もはや圧倒的な数字です。
MLBでレギュラーに定着した2002年から引退する2014年まで、13年連続で100三振以上という数字も残しました。
(意外とリーグ最多三振は4回だけ)
この数字だけをみれば典型的なホームランか三振かという選手に見えますよね。
ですがアダム・ダンの場合、四球数が100以上を超えるシーズンも多く、通算四球数も1317という数字を誇ります。
通算打率は.237なのに対して通算出塁率は.364
IsoD (出塁率-打率)は脅威の.127です。
.100を超えていれば一流と呼ばれる指標ですよ!
それが通算でこれだけの数字ですから。
このあまりにも極端でアンバランスな成績。
これが日本でも話題になり、アダム・ダン率という言葉が作られるようになりました。
アダム・ダン率を算出してみた
アダム・ダン率は三振数を含む指標なので、いかに優秀な選手を表すかという指標にはなりません。
あくまでアダム・ダンっぽさを表す指標となります。
しいて言えば、ホームランか三振か四球なので、打球がグラウンドに飛ぶ割合が低く、
エンドランなどの作戦に悩まなくていい、併殺の心配も少なくなる等の参考になるかもしれません。
ちなみにアダム・ダンの通算併殺打は100。
若いころは足が速くて、2桁盗塁を決めたこともあったんですよ。
ではアダム・ダンの成績でアダム・ダン率を算出してみましょう。
通算成績は
2001試合
打席数:8328
打率.237 (6883‐1631)
本塁打462
打点1168
四球1317
三振2379
ここからアダム・ダン率を算出すると
(462+1317+2379)/8328
→.499
なんと打席の半分近くはホームランか三振か四球ということになります。
通算成績でこれなのですから、シーズンで最もアダム・ダン率の高いときはどれくらいだったのでしょうか?
いろいろ調べてみると、2012年シーズンのアダム・ダン率がキャリアハイみたいです。
このシーズンは
151試合
打席数649
打率.204 (539‐110)
本塁打41
打点96
四球105
三振222
アダム・ダン率
(41+105+222)/649
→.567
この年は開幕から32試合連続三振を記録するなど、ハイペースで三振を量産。
その一方でキャリア2番目の数字となる41本塁打も記録するなど、アダム・ダンらしさをいかんなく発揮します。
ちなみにツーベースも19本放っており、110本の安打のうち60本が長打!
2011年はキャリア最低の数字(打率.159 11本塁打 75四球 177三振)でしたが、見事な復活を果たしました。
提供:イラストAC
日本の選手でいえば、広島・巨人で活躍する丸佳浩選手がアダム・ダン率が高いですね。
特に広島最終年となった2018年シーズンの成績が
125試合
打席数566
打率.306 (432-132)
本塁打39
打点97
四球130
三振130
この成績からアダム・ダン率を算出すると
(39+130+130)/566
→.528
本家に迫るアダム・ダン率をマークしました。
アダム・ダン率はロマン
しかしこのアダム・ダン率があてはめられる選手は、どちらかといえば低打率の選手のほうが多い印象です。
だってその方がアダム・ダンっぽさがありますし(笑)
高打率とホームランを両立し、さらに四球も取れるなんて良い選手に決まってるじゃないですか。
それに四球数が少ない選手にもあまりあてはめられません。
低打率と高出塁率の両立、そしてホームランか三振か。
このバランスの悪さがなんともたまらないのです。
NPBで成績を残した選手でいえば、楽天で活躍したアンドリュー・ジョーンズが近いでしょうか?
MLBでは走攻守そろった外野手として知られていましたが、日本に来たときはすでにキャリア晩年。
しかし持ち前のパワーは健在であり、さらにその威圧感で四球を奪い、4番としてチームの日本一に大きく貢献しました。
2013年シーズの成績は
604打席
打率.243 (478-116)
本塁打26
打点94
四球105
三振164
アダムダン率は
(26+105+164)/604
→.488
なかなか優秀な数字です。
そしてもう1人、さらに極端な例を挙げると
巨人に在籍していた、フレデリック・セペダ
国際大会ではキューバ代表の4番を務め、キューバの至宝とも呼ばれた選手ですが、日本では全くと言っていいほど活躍できませんでした。
それでもスタンドまでもっていくパワーは本物であり、選球眼も抜群。
2014年の成績は
52試合
打席数132
打率.194 (108-21)
本塁打6
打点18
四球23
三振38
アダムダン率は
(6+23+38)/132
→.507
目立った成績を残せなかったセペダも、アダム・ダン率では優秀な数字が出てきます。
2年目のシーズンに至ってはヒットすら1本も打てず、打率.000のまま日本を去ることになりましたが、
ファンに与えたインパクトとしてはかなりのものだったのではないでしょうか。
おそらくアダム・ダン率が高い選手は他にもいたかと思います。
しかしそれではアダム・ダンっぽくない。
あくまで低打率・高出塁率、そしてホームランか三振か。
この極端さにロマンを感じるんですよね~。
アダム・ダン率はロマンです。
これからもそんな選手が出てきたら、愛してあげましょう。